地球環境

図1 世界の年平均気温:気象庁HPより

 気象庁HPより引用。
 細かな周期的変動を繰り返しながら、長期的には上昇傾向が観察される。
 ただし、2000年代の最近10年間は際立った上昇傾向はなく、横ばい傾向である。
 最近の報道で「過去10年間は最高気温」とあったが、図で明らかなように、単に高止まりしているだけなので、平均を取ればこの図の中では確かに最高気温にはなる。しかし、気温が上昇し続けている訳ではない。
 この100年間の上昇幅は、+0.68℃となっている。


 気象庁HPより

図2 日本の平均気温:気象庁HPより

 気象庁HPより引用。
 世界の気温と同様、周期的な変動を繰り返しながら、長期的には上昇傾向が見られる。
 ただし1990年代以降は気温の振れ幅が広がった一方、平均値は顕著に上昇せず、ほぼ横ばいである。
 この100年間の上昇幅は、世界平均の2倍近い+1.16℃となっている。
 これは、測定地点のうち特に都市部において「ヒートアイランド現象」の影響を強く受けているためと推測される。
 すなわち、エネルギーの多消費による廃熱が、気温測定上の「バックグラウンド」を押し上げており、地球規模の「温暖化」との区別が難しい。
 気温上昇を何でも「温暖化」と結びつけるのは、短絡した考えである。


 気象庁HPより

図3 大気中CO2濃度の変化

気象庁HPより引用。
 夏に低く冬に高くなる正確な季節変動を繰り返しながら、平均値はここ50年間ほとんど一定の速度で上昇し続けている。
 増加分は大半が化石燃料(石油・石炭・天然ガス)由来とされているが、エネルギー消費量には時期的な変動がある(高度経済成長期には急激な大量消費、低 成長時代には増加速度鈍化)はずであるが、観測されている大気中CO2濃度の上昇速度は、驚くほど一定である(科学的には未解明)。
 変動幅は、光合成を行う植物の量に強く影響を受けるので、北半球(ハワイ島・日本)で大きく、南半球の南極で小さい。
 日本上空の大気中CO2濃度の上限は400ppmに近づいているが、パーセントで表すと0.04%である。
 CO2は、大気中の微量成分のアルゴン(約1%)や水蒸気(湿度により大幅に変動)より存在量がはるかに少ない。

 
気象庁HPより

図4 CO2濃度と気温の変動の挙動

 この研究例の結果では、気温の変動に対して半年から1年程度の遅れで大気中CO2濃度が追従して変動している。
 気温変動と海水温の変動はほとんど同じ傾向を示すので、気温・水温が上昇した結果、水中のCO2溶解度が低下して大気中に放出されたとの仮説が説明される。
 なお、この説をめぐっては、現在も論争が続けられている。


  (http://www.env01.net/index02.htm より)
 

図5 太陽活動と気温変動に関する最新の学説:

 この説には図6のような科学的な裏付けがいくつか発見されている。


 
 

図6 宇宙線の量と雲量の変化

 宇宙線が大気中に飛び込むと、「ウィルソンの霧箱」の原理で雲が生成する。
 したがって、宇宙線の量と雲の量は比例するはずで、それを裏付けたのがこの図。
 雲量・宇宙線量ともに周期的な変動を繰り返しており、この周期が太陽黒点変動と符合する。
 すなわち、太陽活動のパラメータである黒点の変動は、地球の気温との相関関係があるとの仮説が成り立つ(黒点多いと太陽活動が活発→太陽系磁場強力→宇宙線少ない→雲少ない→気温が高い:逆も成り立つ)。

 
(出典は図中に記載)

図7 太陽黒点の年変動

 約11年周期で規則正しく変動しているが、1640年から1715年にかけて、著しく太陽黒点の少ない時期があった。発見者の名前にちなんで、マウンダー極小期と呼ばれている。

 
 (出典は図中に記載)

図8 西暦200〜2000年までの長期にわたる地球平均気温

 主に木の年輪から推定される気温変化をプロットしたデータ。
 1400年頃から寒冷化が進み、1600年代が最も寒かったと考えられるが、この時期はマウンダー極小期とほぼ一致する。
 また、名古屋大学の研究グループが、この時期の年輪中の炭素同位体測定から、宇宙線の照射量が多かったことを確認している。
 この図に示された気温変動が正しいとすると、地球の気温を強く支配している因子は大気中CO2濃度ではなく、太陽活動であるということになる。
 今後、太陽活動と気温変動の関係に注目が集まると考えられる。

 
 赤祖父俊一、現代化学、No. 459、p.39(2009)より
 (原典:A. Moberg他、Nature、No.433、p.613(2005)より引用)

追加資料:常田佐久 自然科学研究機構・国立天文台 2012年4月19日
「ひので」による今回の観測の意義と最近の太陽活動について

文責:副理事長 松田智


追記:2013年9月にIPCCの第5次報告書の概要が発表されました

2013年9月にIPCCの第5次報告書の概要が発表されました。

IPCCC第5次報告書の気温とCO2データ

IPCC報告書2種の予測値

そこには「新見解」として「累積CO2排出量は世界平均地上温度の上昇幅にほぼ比例関係がある」と記述されています。
しかし、「地球温暖化が人類の排出したCO2によるものである」という説そのものが、この比例関係を当然の前提としてきたはずなので、何故、わざわざ第5次報告書でこの前提を「新見解」として提出するのか不可解と言うべきです。

実際のデータを見てみましょう。

IPCCC第5次報告書の気温とCO2データ図は、第5次報告書に掲載されている世界平均地上温度の推移(上段が年平均、下段が10年平均)と大気中CO2濃度の年次変化です。

気温変化の方は、毎年激しく変化しながら、長期的には約60年周期の変動を伴いながら、1900年以降は上昇傾向を示しています(この周期的変動は未解明)。
特に、2000年以降の最近10数年間は、この周期的変動に合う形で、気温上昇が停滞しています(つまり温暖化が進行していない:日本のマスコミはほとんど報道していませんが)。
一方、大気中CO2濃度は、驚くほど一定の割合で上昇しています。

「驚くほど」と言うのは、大気中CO2濃度の増加は主に人類の消費する化石燃料(石油、石炭、天然ガス)に由来するとされているので、経済・景気変動などによる影響を多少なりとも受けると考えるのが自然ですが、実際には変動が観察されていません。例えば、リーマンショックに襲われた2009年には、世界的に鉱工業生産が下落し、エネルギー消費量も低下したので、大気中CO2濃度にも何らかの影響が出るかと思われたのですが、実際には検出できるほどの変動は見られませんでした。

両方の図を見比べる限り、変動の仕方が大きく異なるので、気温と大気中CO2濃度の直接的な相関関係は見出し難いと言うべきでしょう。

IPCC報告書では、2000年以降の気温上昇の停滞を説明するために、気温上昇に使われるはずの熱が海に蓄えられたとする説が紹介されていますが、確証は得られていません。
気温が確実に上昇していた期間には、海への熱移動量も増加していたはずです(熱移動速度は、大気と海の温度差に比例するから)。
それらの検証が必要ですが、もしこの説が正しいとしても、大気中CO2濃度が気温の支配因子だとする説とは何の関係もありません。

IPCC報告書2種の予測値また、次表には、2007年の第4次報告書と今回の気温上昇幅と海面水位上昇幅の予測値をまとめました。

この表から、今回の報告書では気温の最大上昇幅が4.8℃と、前回の6.4℃より大幅に下方修正されていることが分かります(日本のマスコミはこの事実も伝えていません)。
しかし海面水位予測は、最大値が前回の59cmから82cmに増えています。
気温上昇幅の予測が小さくなっているのに、海面水位の上昇予測が大きくなっているのは、何故でしょうか?

普通は、気温上昇に伴い、氷の融解や海水膨張により水位が上昇するので、気温上昇幅と海面水位上昇幅は比例関係にあるはずです。
実際、約5000年前の縄文時代にはかなり温暖な期間があったらしく、その時代には関東平野のかなり奥地(現在の群馬県・埼玉県・千葉県)まで海が広がっていた形跡が、貝塚の分布から知られています(→縄文海進)。つまり、人類が化石燃料を使うはるか以前にも、温暖化や海面水位上昇は実際にあったと言うことです。
また最近の研究で、数千年前に南極の氷が溶けて地表が大気に露出した形跡があることも分かりました。
南極の氷が溶ければ、海面は大幅に上昇します(北極はもともと海なので、氷が溶けても海面上昇しません)。

今回の報告書は概要版であり、気温と海面の上昇幅予測値の前回報告書との相違に関する説明は見当たりませんが、2014年に発表される完成版には、載るかも知れません。

文責:副理事長 松田智

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